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金と欲にまみれた商人の話、生涯好色を貫いたきもい男の話、ピュアな男色逸話集、義理に命をかける武士道の話・・・
 
 
井原西鶴元禄時代を代表する作家で、ジャンルを問わずいろいろ書いてます。
 
 
節操のないベストセラー大衆作家みたいです。でも、おもしろい話なので上方ではめっちゃ受けました。
 
 
代表作品には「好色一代男」「日本永代蔵」「世間胸算用」などがありますよ。
 
 
元禄文化は、バブル期の上方(大坂・京都)町人の間で栄えたのですが、井原西鶴自身も大阪の商人の子でした。
 
 
今回は井原西鶴の生涯と3つの代表作品について、ポイントを簡単にお伝えします♪

 
 

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大阪商人の息子で俳句マスターだった!

 

 
井原西鶴は大坂の裕福な商人の子として生まれました。
 
 
幼いころに父親を亡くしたのですが、彼は文芸・文化に興味を持ち、家業の商売は人に任せっぱなしだったようです。
 
 
15歳ごろから葉は威嚇(俳句)を学び始め放浪の旅にでました。元禄時代には俳諧の巨匠・松尾芭蕉も生まれてます。
 
 
西鶴の俳句の才能はなかなかのものだったらしく、21歳のときに点者(てんじゃ)という俳句を判定できる資格をとりました。
 
 
30歳ごろ、彼は西山宗因という俳諧師の弟子になって「談林の俳諧」を学び、自由奔放な作風の俳句を詠む世になりました。このころから「西鶴」と名乗るようになっています。
 
 
西鶴の得意技は「矢数俳諧(やかずはいかい)」というものすごいスピードで俳句を読み続けるものでした、
 
 
そうして43歳のとき、大阪の住吉神社で「一日一夜二万三千五百句独吟」の一大記録を打ち立てました。
 
 
なんと彼は一昼夜(24時間)の間に2万3500句もの俳句を作ったのです。
 
 
数より質でしょと思うのですが、まあ、質もおそらくなかなかよく、常人にはできない快挙だったのは間違いないでしょう。

 

 

「浮世草子」は遅咲きデビュー

 

 
井原西鶴は師匠が亡くなった41歳の時、「好色一代男(こうしょくいちだいおとこ)」を書いて一躍ベストセラー作家におどりでました。
 
 
この作品が西鶴の小説のデビュー作です。
 
 
それから西鶴は上方の町人のありのままの姿を描き続けました。
 
 
西鶴の小説は、それまでの「仮名草子」と区別して「浮世草子」と呼ばれます。
 
 
私生活は結婚をし子どもは3人いましたが、妻子すべてに先立たれてしましまいました。
 
 
では、彼の代表作品を5つご紹介します。

 
 

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(1)「好色一代男」(こうしょくいちだいおとこ)

 

 
「好色一代男」は井原西鶴の小説家デビュー作品です。全8巻からなる長編小説で、ジャンルは「好色物」です。
 
 
主人公・世之介(よのすけ)の飽きる事のない好色生活を年ごとにわけて描いています。
 
 
「源氏物語」の俳諧化ともいわれますが、「源氏物語に」比べると、全然「雅」でなくずーっと下品な感じがします。源氏物語好きな私としては、あまり比べてほしくありません。
 
 
あらすじは、主人公の恋の遍歴、金持ちの家に生まれた主人公が7歳で恋を知り、19歳で乱交のあまり親に勘当され、その後、諸国を放浪してやりたい放題、遊び放題の話です。
 
 
主人公は34歳のときに父が死ぬと、莫大な遺産を相続して生涯好色生活を送れたというラッキーマンでした。
 
 
60歳になると「好色丸(よしいろまる)」という船で7人の友人とともに「女護島(にょごがしま)」へ船出しました。
 
 
バブル期らしい変な話です。

 
 

(2)「日本永大蔵」(にっぽんえいたいぐら)

 

 
「日本永代蔵」は全6巻からなる小説で、ジャンルは「町民物」です。
 
 
上方商人の金と欲の話です。
 
 
勤勉と節約につとめて資産を作り、立身出世した多くの町人の姿を描いています。
 
 
作品構成は、町人たちに「現金をゲットする心構えと方法を教訓する」という体裁をとっています。
 
 
内容は、人並外れた倹約をしたり、新しいことにチャレンジしたりして巨万の富を築いた町人たちの暮らしを描いたものです。
 
 
金に笑い金に泣く、商人の社会をありのままに表現しました。

 
 

(3)「世間胸算用」(せけんむなざんよう)


「世間胸算用」は全5巻20話からなる浮世草子で、ジャンルは「町人物」です。
 
 
この作品には「大晦日は一日千金」という副題がついています。20話すべてが大晦日の出来事を描いたものなのです。
 
 
江戸時代は掛売りが多かったので、大晦日はすべての勘定を決済する商人にとって大変重要な日でした。
 
 
この日は売り手と買い手が必死の攻防戦をくり広げる日なので、数々のドラマが生まれます。
 
 
なんとか全部回収しようとする取り立て側と、何とか逃れて支払いを先のばししようとする買い手たちが、それぞれ知恵をしぼり秘術をつくすさまを、ユーモラスに描いた作品なのでした。

 
 

おわりに

 

 
井原西鶴の生涯と代表作を簡単にお伝えしました。
 
 
★大阪の商人の家に誕生
★俳句早詠み名人だった
★小説家に転身し「浮世草子」を確立
★町人のありのままの姿を描いた
★代表作は「好色一代男」「日本永代蔵」「世間胸算用」など

 
 
「町人物」「好色物」の作品がよく知られますが、「武家物」なども描いています。
 
 
今でいうジャンルを問わないラノベ作家(大衆作家)みたいですよ。
 
 
あまり大きな声では言えませんが、井原西鶴の作品で私のおすすめは「男色大鑑(なんしょくおおかがみ」です。
 
 
主に武家社会における衆道を取り上げているのですが、なんだか純愛で切ないのです。けっして軽いノリの話ではありません。
 
 
歴史の授業では絶対習わない江戸時代のあちら系の風習・しきたりがよくわかりますよ~。

 
 

井原西鶴の簡単年表

 

 
・1642年(1歳)
大坂の町人の息子として誕生。
 
・1662年(21歳)
俳諧を判定する点者になる。
 
・1682年(40歳)
「好色一代男」が刊行される
 
・1684年(42歳)
住吉大社で1日で23500句の独吟を達成
 
・1688年(46歳)
「日本永代蔵」「武家義理物語」刊行。
 
・1692年(50歳)
「世間胸算用」刊行。
 
・1693年(51歳)

死没。
 
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