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2013年に公開された大ヒット映画「アナと雪の女王」は、アンデルセンの「雪の女王」にインスピレーションを得て作られた作品です。
といっても、ディズニーらしく内容はかなり違いますけど・・・
今回は、その元のアンデルセン童話の「雪の女王」のあらすじを、簡単にご紹介します。
子供の頃読んだとき、なんかよくわからんなーと思ったお話なのですが、やっぱり言いたいことがよくわからん話です、私にとっては。
あなたはどう思われるでしょうか。。。
目次
「雪の女王」の簡単なあらすじ
■悪魔が作ったやっかいな「鏡」
ある日、悪魔が不思議な「鏡」を作りました。
その「鏡」に映ったら、どんなに美しいものでもちぢこまってしまい、みにくいものはいっそうみにくくなるという変ちくりんな鏡でした。
やがて悪魔が教える魔法学校の弟子たちが、この鏡で天使をからかってやろうと思い天に向かいます。
ところが、天国に行く途中、悪魔の弟子は「鏡」を地上に落としてしまったのです。
「鏡」は割れてしまい、小さな小さな砂粒ほどの「かけら」になって地上に飛び散りました。
そして、その「かけら」が人々の目や心臓に入ると、その人は物の見方や心がゆがんでしまうのでした。
■仲良しのカイとゲルダ
ある町にカイという男の子とゲルダという女の子が暮らしていました。2人の家は隣同士で仲良しでした。
ある日、2人が屋根の上で一緒に絵本を読んでいましたら、悪魔の「鏡」のかけらが空から降ってきました。そして、カイの目と心臓に刺さってしまったのです。
すると、カイは別人のように人が変わってしまい、ひねくれた物の見方をし、ゲルダをいじめるようになりました。
■カイ雪の女王に連れられる
雪の中、カイが1人で遊んでいると、雪の女王が大きなソリに乗って通りがかりました。
真っ白い毛皮のコートを着た雪の女王は、背が高くて目がくらむほど白く輝く美しい女性でした。
「おまえ、ふるえているのね。わたくしのクマの毛皮をかぶるとよいわ。」
雪の女王はそう言って、カイを大きなソリに乗せ、横に座らせて毛皮をかけてくれました。
そうして、寒くてふるえるカイの額に女王がほっぺたを当てました。女王のほおは、氷より冷たく感じました。
その冷たさでカイは心臓が止まりそうになりましたが、すぐにすっかり気持ちよくなって、カイは寒さを感じなくなりました。
女王がカイのひたいにキスをすると、カイは仲良しのゲルダのことも優しいおばあさんのことも、すっかり忘れてしまったのです。
女王はとても知的で美しく、カイは女王に夢中になりました。そして、自分の賢さを女王に知ってもらいたくなり、女王にいろんなお話しをしました。
女王はほほえみながらカイの話を聞き、カイを連れて森や湖や陸の上を、夜の間に飛びまわりました。
日がのぼっている間、カイは女王のそばで眠りました。
■ゲルダ、カイを探しに行く
ゲルダは力イがいなくなってから、帰ってくるのをまだかまだかと待ち続けましたが、いつまで待ってもカイは戻りません。
とうとう待てなくなったゲルダは、自分でカイを探しに行こうと決めました。
「カイは雪の女王と一緒に行った」と人に聞いたゲルダは、女王の住む北の果てを目指しました。
雪の女王のお城にたどり着くと、ゲルダのそばに1羽のカラスが降り立ちました。カラスは「その男の子なら王女さまと結婚したよ」と教えてくれました。
カラスに連れられてお城の中に入ると、カイによく似た王子が眠っていましたが、その子はカイではありません。
ゲルダが王子にカイの話をすると、王子は馬車を用意してくれ、ゲルダは再びカイを探しに行きました。
ところが、ゲルダは山賊に捕まってしまいます。
しばり上げられたゲルタのロープを切って救ってくれたのは、山賊の頭の娘でした。その娘がゲルダをトナカイに乗せてくれて、今度こそ雪の女王のお城にたどり着けたのです。
■「永遠」を探すカイ
雪の女王のお城は、すべてが雪と風でおおわれていました。
大きな広間がたくさんならんでいて、キラキラとオーロラに照らされています。
お城はとても大きく広いのですが、氷のようにただただ冷たく輝くだけで、おもしろみのないところでした。
カイはそこで雪の女王と一緒に暮らしていたのです。
カイの体は冷えきっていましたが、寒さはまったく感じませんでした。なぜなら、雪の女王にキスをされて、寒さ感じなくなっていたからです。
カイはうすい氷の板を組み合わせて「氷の知恵遊び」をしていました。
女王はカイの目には、この上なく知性を感じさせる美人に映っていました。
女王はカイに、氷の板を並べて「永遠(えいえん)」という形を作ってみなさいと言いました。
「もしその形を作れたら、あなたは自由になるわ。そうしたら、わたくしは世界のすべてをあなたにあげましょう」
カイは努力しましたが、どうしてもその形を作ることができません。
しばらくすると、雪の女王はどこかへ飛んでいきました。
ひとりでお留守番をしているカイは、体が冷え切っていてもう死んでいるかのようでした。
■ゲルダとカイ、再会する
ゲルダが、ようやくカイのいる雪の女王のお城にたどり着きました。
そして、とうとうカイの姿を見つけました。
「カイ、会いたかったわ!」とゲルダが飛びつきます。
「きみは、誰なの?」
雪の女王のキスで、カイはゲルダのことをすっかり忘れ去っていたのです。
「ゲルダよ。私を覚えていないの?」
ゲルダの目から涙があふれます。そうして、その涙がカイのまぶたをぬらしました。
するとゲルダの涙が力イの目に落ち、悪魔の「鏡」の破片を洗い流したのです。
その瞬間、カイの記憶が戻り、元のやさしい男の子に戻りました。
「ああゲルダ! ぼくはここで何をしていたんだろう?」
ゲルダは、もううれしくてうれしくて踊りだしました。
すると、カイが遊んでいた氷の板切れも楽しくなったかのように踊りだしました。
もう雪の女王が帰ってきてもカイは自由です。なぜなら踊っていた氷の板きれがあの「永遠」の文字を形作っていたからです。
2人は手をつないで、雪の女王のお城から出ていきました。
ゲルダとカイを乗せたトナカイに、山賊の娘が手をふりました。
「もう2度と離ればなれになってはいけないよ。」
「うん、わかった!」と、カイが答えます。
カイとゲルダは、家に帰るまでずっとおたがいの手を握っていました。
町に戻った2人は、おばあさんの読む聖書の言葉に耳をかたむけました。何もかもが元どおりでした。
でも、変わったこともありました。2人とも自分たちがいつかもう大人になっていることに気がついたのです。
雪の女王の感想
「雪の女王」はアナ雪の元になった作品ですが、主題がつかみづらいですね。
タイトルの「雪の女王」の考えていることが、分かりにくいのです。
実は悪い魔女でカイを食べようとしていたという、グリム童話的なオチもないし・・・
要するに、この話は「雪の女王」がどんな人だろうとワクワクしながら読み始めると、タイトル詐欺に合ったような肩透かしをくらう話なのでした。
主人公はゲルダとカイで、主題(テーマ)はカイを探しにいくゲルダの冒険です。
2人とも多くの経験を積んで、大人になりました(成長できました)という話です。
「永遠」って何だ?
雪の女王がカイをお城に連れて行った理由は何でしょう?
偶然通りがかって思いつきで連れて行ったかのような執着の薄さです。
雪の女王は冷たさ・無感情・無感動という、熱い感情的なものと対極にあるキャラクターです。
カイの目に「知的な美女」と映ったとおり、感情で動かない理性的な人なのでしょう。
そんな彼女が手に入れられなかったのが「永遠」でした。
そして、その「永遠の文字」は、ゲルダが大喜びし熱い感情が動いたときに完成したのです。
雪の女王に足りなかった熱い想いが、世界を動かす原動力になるものということでしょうか。でも、それでは留守にしていた女王は、そのことに気づけたのかなと気になります。
大人の目線で考えるとおもしろい!
余談ですが、この話は大人目線で見ると、美しく冷たい美女に心変わりした夫を妻が取り戻しに行く話のようにもとれますね。
結婚当初は優しかった夫がだんだん意地悪になり、きれいな他の女性にのぼせ上ってその女の所へ行ってしまった、それを妻が探し出し正気にさせて連れ戻したととらえると、なんだか納得なのでした。
「アンデルセン」だから、それはないと思いますけど…ね。(-“-)
おすすめ図書
おすすめの関連図書をご紹介します。改めていろんなことに気づいておもしろいですよ~♪
(1)子供向け童話
こちらは1話5分前後で読める量で、お子様への読み聞かせにぴったりです。
簡単なあらすじとはいっても、大人になると忘れている細かい部分が確認できておもしろいです。
【収録15作】
親ゆびひめ・みにくいあひるの子・五つぶのえんどうまめ・はくちょうの王子・空とぶトランク・すずのへいたい・はだかの王さま・天使・にんぎょひめ・まめの上にねたおひめさま・もみの木・火うちばこ・赤いくつ・ひなぎく・マッチ売りの少女
(2)大人向け童話
こちらはアンデルセン童話を簡略化せずに翻訳したものです。「雪の女王」は2巻に収録されています。
ヨーロッパ文学は日本文学とは雰囲気や教訓が違うので、文化の違いが分かっておもしろいです。
童話というより文学作品、大人向けです。
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