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こんにちは。
今回は、作曲家ベートーベンの有名な代表作をご紹介します。
ベートーベンは有名な曲だけでも数10曲もあるので選びにくいですが、今回は交響曲から5曲、ピアノソナタから5曲(おまけ1曲)を厳選してお届けします。
いずれもドラマやアニメCMなどでよく使われているので、ご存知の方も多いと思いますよ。
それでは、まずは交響曲から・・・
目次
◆これは知っておきたい!交響曲5選
ベートーベンは、生涯に9つの交響曲を作曲しました。
そのうち、よく知られているおすすめ曲は、3・5・6・7・9です。
これでもう半分以上ですね。
でも、これ以上はしぼれないのでしたー!
(1)交響曲第3番「英雄(エロイカ)」
信奉者の多いカラヤンの指揮&ベルリンフィルの演奏です。
カラヤンは有名になりすぎて一部のマニアの間では不評だったりしますが、カリスマ性のある指揮者はやっぱりかっこいいですね。
交響曲第3番「エロイカ」は、ベートーベンがナポレオンに捧げようとした曲でした。
ベートーベンは、民衆のために立ち上がったナポレオン・ボナパルトを応援していたのですが、曲の完成前にナポレオンが共和制を捨てて「皇帝」に就任したのを知り幻滅したというエピソードが残っています。
もともとDV気質だったベートーベンは、その知らせを聞いたとき、ブッちぎれて家の中の物を投げまくって暴れたそうですよ。
よく知られるのは第一楽章ですが、続く第二楽章が「葬送行進曲」というのが変わっていておもしろいです。
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(2)交響曲第5番「運命」
「ジャジャジャジャーン!」で始まるベートーベンの「運命」、小澤征爾指揮・NHK交響楽団の演奏です。
始めのフレーズがあちらこちらで使われまくっている超有名曲ですね。
ベートーベン自身が、この曲の始めのフレーズを「運命がドアを叩く音」と表現したという説があります。
この曲にとりかかった頃、ベートーベンはもうかなり耳が聴こえにくくなっていました。
この交響曲は、当時はまだオケに使われていなかったピッコロやトロンボーンを加えて演奏されました。初演は1808年、ベートーベンが37歳のときです。
また、作るのに長い時間(約5年)をかけて試行錯誤し創意工夫を加えたため、高い評価を得ています。
とにかく、とても強い印象を与える曲ですね。
(3)交響曲第6番「田園」
交響曲第六番は、通称「田園」と呼ばれます。「運命」はベートーベンが付けた通称ではないのですが、「田園」はベートーベン自身が名付けました。
初公演は「運命」と同時、1808年です。
続けて作ったにしては、かなり対照的な曲ですね。「運命」は激しく「田園」は穏やかな雰囲気です。
「田園」と名付けたのは自然の牧歌的な風景を指したのではなく「田園」にいる人々の心の喜びを表現したのだとベートーベンが伝えています。
私は穏やかな暗い曲のほうが好きなので、「田園」はベートーベンの交響曲の中でもかなり好きな曲です。
(4)交響曲第7番
ベートーヴェンの交響曲第7番は、ベートーヴェンが41歳のときの作品です。
「運命」や「第九」に比べると知名度は劣りますが、バランスの取れた名曲として人気があります。この曲だけ通称が付いていません。
この頃には、もうほとんど耳が聴こえず、恋人テレーズとも破局してました。
結構大変な時期だったと思いますが、「第七」はリズム感のある美しい曲です。
(5)交響曲第9番「歓喜の歌」合唱付き
ベートーベン交響曲「第九」は、日本でもクラシック好きの間では年末の風物詩となっていますね。
この曲はロンドンのフィルハーモニー協会がベートーベンに作曲を依頼して、1824年に完成されました。
初演はウイーンで、もう耳がほとんど聴こえなくなっていたベートーベン自身が指揮をしました。
演奏後にベートーベンは観客の拍手喝采が聞こえず、舞台上の歌手に観客の方を向かされて初めて演奏が大成功したとわかったというエピソードがあります。
第四楽章の有名な合唱の歌詞の原詩は、ドイツの詩人フリードリヒ・シラーの「歓喜に寄せて」という作品です。(後にベートーベンがアレンジしています)
日本語の歌詞は、なかにし礼の作詞です。
◆ベートーベンのしびれるピアノソナタ5曲
ベートーヴェンは生涯に32曲のピアノソナタを作曲しました。
その中でもよく知られている5曲をご紹介します。
「★印」の3つの曲「第8番・悲愴」「第14番・月光」「第23番・熱情」が、ベートーヴェンの「3大ピアノソナタ」と呼ばれる曲です。
(1)第8番「悲愴」★
ベートーベンの三大ピアノソナタの1つ「悲愴」、上の動画はよく知られている「第二楽章」です。
私はこういうアンニュイな雰囲気の曲が好きなので、この曲はベートーベンのピアノソナタの中で一番好きです♪
ベートーベンは重厚な楽曲が多いですが、この曲は繊細な美しさを感じる名曲ですね。
(2)第14番「月光」★
ピアノソナタ「月光」の「第一楽章」です。第二、第三楽章も素晴らしい曲なので、続けて聴きたいです。
この曲はベートーヴェンが31歳のときの作品で、当時恋人だった(ベートーベンは生涯独身でしたが何人か恋人はいました)イタリアの伯爵令嬢ジュリエッタ・グイチャルディに捧げられました。
ジュリエッタは当時17歳でベートーベンより15歳も年下でした。しかも、お嬢様だったのでこの恋は破局に終わってしまったのです。
「月光」という表題はベートーベンが考えたものではなく、彼の死後1832年に、ルートヴィヒ・レルシュタープという人が「ルツェルン湖(スイス)の月光の波に揺らぐ小舟のようだ」とコメントしたことから付けられたのだとか。
「悲愴」の第二楽章と並んで、この第一楽章もベートーベンのピアノ曲の中ですごく好きな曲の1つです。
(3)第17番「テンペスト」
ピアノソナタ17番「テンペスト」は、まさに「嵐」のような激しい曲です。よく知られているのはこちらの「第三楽章」です。
追い詰められるような切迫感を感じる強い曲ですね。
ベートーヴェンの弟子のアントン・シンドラーが曲の解釈についてベートーベンにたずねたとき、シェイクスピアの「テンペスト」を読めと言われたのが、表題「テンペスト」の由来と伝わります。
ベートーベンらしい嵐のようなドラマチックなピアノソナタです。
(4)第21番「ヴァルトシュタイン」
ピアノソナタ第21番の通称「ヴァルトシュタイン」は、ベートーベンがこの曲を後援者のフェルディナント・フォン・ヴァルトシュタイン伯爵に献呈したことに由来しています。
ヴァルトシュタイン伯爵は、パトロン(経済的支援者)だっただけではなく、ベートーベンを理解する数少ない精神的な支えになってくれた人ともいわれます。
ベートーベンのピアノソナタの中では、柔らかい感じがする素敵な曲なので人気があります。
(5)第23番「熱情」★
ピアノソナタ23番は、「熱情」という通称で知られているベートーヴェンの中期の最高傑作の1つです。
「熱情」という表題はベートーヴェンが付けたのではなく、ハンブルクの出版社が楽譜を出版するときに名付けたそうです。
ベートーベンらしい重厚な雰囲気のダイナミックな曲です。和音がガンガン響く、まさに「熱情」という感じです。
【番外編】「エリーゼのために」
言わずと知れたベートーベンの名曲「エリーゼのために」。
「エリーゼ」とはベートーベンの恋人だった「テレーゼ」の間違いだといわれます。
本当は「テレーゼのために」だったのが、ベートーベンの字が読みにくくて「エリーゼ」とスペルを間違えられて広まったのだとか。
テレーゼ・マルファッティはベートーベンの恋人で、1810年にこの曲を彼女に贈って求婚したとも伝えられます。(ベートーベンは生涯独身)
彼女とは破局してしまいますが、繊細な冒頭の調べは女性的で美しいですね。
運指が簡単なので、ピアノを習って2~3年の低学年のお子様でもじゅうぶん弾ける曲です。
その割に中盤にベートーベンらしい力強い華やかさが表れるので、ピアノの発表会に人気があります。
弾き方によってごく雰囲気の変わる曲なので、その日の気分や個性が出ておもしろいです。
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