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「ブレーメンの音楽隊」のあらすじを簡単に紹介します。
4匹の老いた動物が新しい老後の生活を求めて旅をするお話です。
目次
ブレーメンの音楽隊の登場人物
ロバ
犬
猫
おんどり
どろぼうたち
ブレーメンの音楽隊のあらすじ(簡単ネタバレ)
「ブレーメンの音楽隊」は、年をとったロバ、年をとった犬、年をとった猫、年をとったおんどりの4匹が音楽隊に入るため、自由ハンザ都市・ブレーメンを目指して旅するお話です。
途中でどろぼうの家を見つけ彼らを追い払いました。その後、ブレーメンには行くのをやめて、どろぼうのいた家で4匹仲良く暮らすことにしました。
◆家を出てブレーメンを目指す年老いたロバ
むかし、ある男がロバを飼っていました。ロバは年をとって重い荷物が運べなくなりました。
ロバはもう役に立たないからとムチで殴られ、ひどいあつかいを受けました。ロバは悲しくて仕方がなく、このままここにいるともっとひどい目にあうと思いました。
「そうだ、ブレーメンにいって、音楽隊に入れてもらおう!」
そう思いついたロバは、こっそり家をぬけ出しました。
◆ロバ、年老いた犬に出会う
ブレーメンを目指してロバがてくてく歩いていると、悲しそうにしている犬に出会いました。
「どうしたんだい?」
ロバがたずねると、犬が答えました。「年をとって猟に行けなくなったから、役立たずは殺してしまえと言われたんだ」
犬は飼い主のところを逃げ出してきたのですが、行く当てもなく、悲しんでいたのでした。
ロバが笑っていいました。「それじゃあ、ぼくと一緒にブレーメンに行って音楽隊に入ろう!」
犬はうれしそうにうなずいて、一緒に行くことにしました。
◆ロバと犬、年老いた猫に出会う
仲間になったロバと犬が歩いていると、ずぶぬれになった悲しそうな猫がいました。
「どうしたんだい?」
ロバがたずねると、猫が答えました。「年をとってネズミをとれなくなってね。ご主人が怒って川に投げ捨てて殺されるところだったんだ。」
猫は、飼い主の家を逃げ出してきたところでした。
ロバが「一緒にブレーメンへ行こうよ」と誘うと、猫はうれしそうにうなずいて、一緒に行くことにしました。
◆ロバ、犬、猫が年老いたおんどりと出会う
仲間になったロバと犬と猫が歩いていると、大きな声で泣くおんどりと出会いました。
「どうしたんだい?」
ロバがたずねると、おんどりが答えました。「年をとって朝早く起きられなくなり、鳴いてみんなの目覚ましができないから、明日、スープにされるんだ」
ロバが「一緒にブレーメンへ行こうよ」と誘うと、おんどりはうれしそうにうなずいて、一緒に行くことにしました。
◆4匹、どろぼうの家を見つける
ブレーメンを目指して歩いていると夜になったので、4匹は寝床になる場所を探そうと森の中に入っていきました。
すると、森の中に灯りのついた家が見えました。
その家の中を窓からのぞくとなんとそれはどろぼうたちの家だったのです。
どろぼうたちは、盗んだたくさんのごちそうを食べているところでした。
ずっと歩きっぱなしでお腹がペコペコだった4匹は、何とかしてごちそうにありつきたいなあと考えました。
◆4匹、どろぼうたちを追い出す
みんなは、なんとかしてこの家からどろぼうを追い出そうと知恵をしぼりました。
そして、ロバの上に犬が乗り、犬の上に猫が乗り、猫の上におんどりが乗って、みんなで一つになりました。
窓にうつったその影は、見たこともない「おばけ」のようです。そうして、4匹は大きな鳴き声を上げながら部屋の中へ突入しました。
「ヒヒーン!」
「ワンワン!」
「ニャーニャー!」
「コケコッコー!」
4匹の混ざり合った鳴き声をおばけの叫び声だと思ったどろぼうたちは、びっくりしていちもくさんに逃げていきました。
4匹はどろぼうたちのごちそうを食べてお腹いっぱいになり、すやすやと眠りにつきました。
どろぼうたちは、家の近くでかくれながら家の様子を見ていました。
みんなが眠って静かになったので、どろぼうの親分が子分にむかって家の様子を見てこいと言いました。
子分が、おそるおそる家の中へ入ります。
暗くてなんにも見えないので、灯りをつけようとしました。
きらりと光る小さな炭火を見つけたので、マッチをつけようと近づきましたが、それは炭火ではなく猫の光る目でした。
「ニャーーーーッ!!!」
猫は怒って、どろぼうに飛びつき、するどいつめでひっかきました。
「ギャーーーーーッ!!!」
子分がびっくりして、裏口から逃げようとし、何かをふんずけてしまいました。
どろぼうがふんだのは、犬のしっぽでした。
「ウーッワンワン!」
犬が怒ってどろぼうの足にかみつきます。
家の外へ飛びだしたどろぼうは、今度はロバのおしりにぶつかってしまいました。
「ヒヒーーーンッ!!!」
ロバが怒って後ろ足でどろぼうをけっとばします。
「コケコッコーーーーーッ!!!」
今度は、物音におどろいたおんどりが大声で鳴きました。
さんざんな目にあったどろぼうの子分は、親分のもとに逃げ帰りました。
「親分、あの家には恐ろしい魔女がいます!」
ひっかかれて足をかまれ、けっ飛ばされ大声で叫ばれました。
どろぼうたちはそれはたいへんだとおそれて、遠くに逃げていきました。
◆4匹、家で仲良く暮らす
どうぶつたちは、すっかりこの家が気に入りました。
ブレーメンに行くのをやめて、ずっとこの家で4匹で暮らすことにしたのです。
そうして、みんなで音楽をかなでながら、ゆったり平和な日々を過ごしました。
ブレーメンの音楽隊の教訓
【教訓1】辛いなら生きる場所を変える
この話の中の動物たちは、みんな年老いて厄介者にされています。このまま飼い主のところにいれば、虐待されて殺される運命でした。
彼らはそんな現状に耐えてあきらめるのではなく、運命にあらがって幸せをつかみとりました。
ロバが目指したブレーメンは、メルヘン街道の執着地、中世ドイツでは自由の象徴のようなハンザ同盟の都市でした。
ブレーメンなら好きなことに挑戦して、自由に生きられると思ったのでしょう。
年をとったことを言い訳にせず、やりたいことを見つけて実行した4匹は、老後の生き方のお手本になります。
【教訓2】力がなくても協力すると成し遂げられる
ロバ、犬、猫、おんどりは、みんな飼い主(社会)から役立たずといわれた老いた弱者でした。
そんなよぼよぼの力ない動物たちでも、力を合わせて知恵をしぼったら、凶悪などろぼうたちを退散させることができたのです。
共通の目的のためにみんなで知恵を出し合い協力することの大切さを、教えてくれるお話です。
【教訓3】臨機応変に対応する
現在、ブレーメンの街には、「ブレーメンの音楽隊」の銅像が立ち、音楽隊グッズが売られています。
しかし、動物たちは、けっきょくブレーメンには行きませんでした。
ロバがブレーメンを目指そうと思いつた当初は、それが彼らの大きな目標(夢)で、生き残るための支えだったはずです。
ところが、ブレーメンへの道中、どろぼうの家を手に入れてその居心地の良さを知り、ここでみんなでのんびり平和に暮らそうと決めました。
彼らはブレーメン行きを断念したのではなく、ここで生活するほうがより幸せな余生を送れると判断したのです。
事情が変われば当初立てた目標は修正しても構いませんし、状況によれば変更するほうがよい場合もあります。
「ブレーメンの音楽隊」というタイトルなのに、彼らがブレーメンに行かず音楽隊にも入らなかったのは、、臨機応変に対応することの大切さを教えてくれているように思えます。
子供向けの童話は、奥深いお話が多いですね。
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