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こんにちは。
 
 
奈良の「春日大社」といえば「鹿」が神様のおつかい(神鹿)として知られますが、国宝殿には「猫」が描かれた「宝剣」が奉納されているんですよ。
 
 
平安時代の公家の太刀なので、実戦ではなく完全に「お守り刀」で、鞘が純度の高い「純金」で匠の技で作られた「宝剣」なのです。
 
 
今日は「春日大社」のキュートな鹿おみくじと国宝の太刀について、お伝えします。

 
 

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春日大社のキュートな「鹿おみくじ」

 

 
「春日大社」は中臣氏(後の藤原氏)の氏神を祀るために768年に創設された神社です。
 
 
平安以前というのがすごいです。
 
 
神紋は藤原氏ゆかりの「下がり藤」で、 こちらの大社は全国に約1000社ある春日神社の総本社です。
 
 
奈良の鹿が神使(神様のおつかい)とされるのは、春日大社のご祭神「武甕槌命」が白鹿に乗ってこの地にやって来たことに由来しますよ。
 
 
今回、私はここで数年ぶりに「おみくじ」を引きました。
 
 
普段は「おみくじ」のような、はっきりしない「商品」(←と言い切る)は、好きではないので買わないんですけど。
 
 
「ガチャ」も「鍛刀」もできるだけしたくないのです。宝くじなんて一生絶対買いません。(←確率の計算をすると、とても買えない)
 
 
そんな私がお正月でもないのに「おみくじ」を引いたのは、コレがほしかったからです♪

 
 

 
 
可愛いでしょ?
 
 
この陶器製の「鹿」がほしかったの、くわえてる「おみくじ」はおまけみたいなもんです。
 
 
こういう物につられて、ついつい「課金」(←ちょっと違うけど)してしまう私。(´・_・`)
 

 
・・・・・「大吉」でした。
 
 
微妙です。
書いてることが良すぎて、ちょっと引きます。この「おみくじ」の効力はいつまでなんだろう。。。

 
 

「猫」好き絶賛?「金地螺鈿毛抜形太刀」

 

 
それでは、刀剣ネタいきます♪
(「刀剣乱舞」実装はされてません)
 
 
春日大社には、平安時代前後の古い日本刀が数振り奉納されています。
 
 
今年(2018年)始め、昭和初期に見つかった太刀が「童子切」と同じ伯耆国の安綱の作ではないかと話題になったばかりです。「天下五剣」クラスなので、すごいニュースですよ。
 
 
その春日大社の刀の中でも最も素晴らしい名物と称されるのが、平安時代に作られた国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」(きんじらでんけぬきがたたち)なのでした!
 
 
猫にゆかりのある刀剣といえば、打刀の「南泉一文字」が思い浮かびますが……(「とうらぶ」やってる人だけ)
 
 
「南泉一文字」は触れただけで猫が真っ二つにというエピソード付の刀ですが、こちらの「金地螺鈿毛抜形太刀」は猫を斬ったのではなく、鞘に猫ちゃんイラストが描かれた遊び心ある太刀なのです。
 
 
「金地螺鈿毛抜形太刀」の鞘の表面には、豪華な猫とスズメ、竹の螺鈿細工がほどこされています。

 

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それも「スズメにこっそりと近づいてシュタッと飛びかかってキャッチ!」というにゃんこの動きを、見事に表現しているのです。
 
 
佩裏にも「竹林でスズメを狙う猫の様子」が3連続のシーン展開で描かれています。
 
 
この作品が「名物」と呼ばれる理由の1つは「獲物(スズメ)を狙う、追う、捕獲する」という猫の一連の動きを描いているところです。
 
 
そして、もう1つの素晴らしい点は、当時の最高技術、卓越した螺鈿細工の技巧がこらされているところなのです。
 
 
鞘(さや)には漆地に金粉が蒔き詰められ、猫とスズメは「夜光貝」を切り抜いてはめ込んだ螺鈿細工で作られています。
 
 
「夜光貝」の表面は毛彫りで猫の毛まで細かく描かれています。また、首には発色の違う別の貝をはめ込んだ「首輪」もほどこされているのです。
 
 
つまり、かなりセレブな人の飼い猫だったと一目瞭然なのですよ。
 
 
国宝「金地螺鈿毛抜形太刀」は、このような匠の細部の螺鈿細工の技から、日本の螺鈿表現の最高傑作とうたわれる「名物中の名物」なのです。

 
 

猫好き平安貴族「藤原頼長」が作らせた太刀

 

 
では、この太刀を作らせたにゃんこ好きは、一体だれだったのでしょう?
 
 
平安時代は「猫」が大陸(唐)から輸入され、「唐猫」(からねこ)と呼ばれて貴族の間でブームになっていました。
 
 
この太刀を作らせたのは、そんな猫好き貴族の1人、平安末期の摂関家筆頭・藤原頼長(1120ー1156)といわれています。
 
 
頼長さまは「平安のBL日記」の作者として話題のエキセントリックな貴族です。非常~に興味深い人ですが、彼についてしっかり記事を書くと暴走しそうなのでやめておきます。
 
 
気になる方は「藤原頼長 台記」でググってみて・・・(ノ゚ο゚)ノ
 
 
日本史のお勉強的には「保元の乱」で負けて上流貴族の中でただ1人敗死した人です。
 
 
いろいろこじらせてた人ですが、キレッキレに頭が良く、他人に厳しすぎて「悪左府」と呼ばれた左大臣でした。
 
 
でも、病気になった猫をすごく心配して祈願したことや、亡くなった猫をていねいに埋葬したことなど、猫を大事にしてた事は日記「台記(たいき)」からも明らかなのです。
 
 
「刀剣」関係では、「小狐丸」の持ち主で(「小狐丸」は盗まれるまで代々藤原氏の刀だった)、近衛天皇から源頼政に「獅子王」が下賜されたとき直接手渡す役目だった人です。
 
 
「悪左府」頼長が作らせた刀剣ですから、「中途半端は許さん!結果がすべてだ!」という感じで、刀匠たちにも妥協を許さなかったでしょう。
 
 
だからこそ、この細部まで徹底的にこだわった平安の粋を極めた「名刀」が生み出されたのです。
 
 
そして、藤原頼長は完成した見事な太刀「金地螺鈿毛抜形太刀」を、藤原氏の永遠の繁栄を願って氏神「春日大社」に奉納したのでした。
 
 
今は、この刀剣は公開されていませんが、またいつか期間限定で公開される日もあるでしょう。

 
 

春日大社「国宝殿」

 

 
春日大社の「国宝殿」は、駐車場の近くで人の多い場所なのですが、私たちが行ったとき(平日午前中)はガラガラでした。
 
 
入館料は大人500円で、展示物は少なかったです。
 
 
でも、新しいきれいな施設で、そして何より涼しかったのですごくうれしかったのでした。(この日は溶けそうな暑さでした)

 

 
今も神事で遣われる大きな太鼓がありましたよ。
 
 
それぞれ「龍」と「鳳凰」が描かれていて、すごく大きいです。

 
 

 
「金地螺鈿毛抜形太刀」をイラスト化したクリアファイルがありました!
 
 
資料類を入れるファイルがほしかったので、すぐに買って使うことに・・・。
 
 
ツンっと気取った猫のモチーフが可愛らしいです♪
 
 
イラストでも分かりますが、鞘(さや)の部分に長方形の穴が開いてますね。この形の太刀が「抜形太刀」です。

 

 
 

 
 
刀剣「金地螺鈿毛抜形太刀」のポストカードとストラップもありました。
 
 
使う事はないと思うけど、記念に購入。。。
 
 
今度はいつになるかわかりませんが、「金地螺鈿毛抜形太刀」のレプリカが公開されるときにまた行きたいです。

 
 
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